この病気のエピソード
(2019年4月追記)
抗がん剤治療が終了して1年以上過ぎました。いろいろ疲れないよう無理はしないようにしながら、今はすっかり前の暮らしに戻っています。病気が発覚すると、検査・手術・治療とジェットコースターのように進んでいきます。治療中は前を向くのに精一杯で、振り返ることなく今まで来ましたが、この前ふと1年前と今を比べ、どれだけ体が回復しているかに気がつきすごくびっくりしたので、もしなにか参考になればと思い以下に治療中の私の体験を簡単にまとめてみようかなと思います。
治療が始まる前に、寝込んでなにもできなくなるかも・・・と市販のおかゆやゼリーなどいろいろ買い込んでいたのですが、副作用予防で大量のデカドロン(ステロイド)を取っていたせいか、最後まで吐き気をもよおすことがなく(せいぜい胸焼けくらい)、逆に食欲が増して普通の食事をずっと取れていたので、私の場合けっきょく最後までそれを使うことはありませんでした。ステロイドの副作用で体重が増えて、血圧が上がりました(160くらいまで。ステロイドをやめたら戻りました)。私はなぜかほとんど寝込むことがなかったので、このまま乗り切れるかな・・・と思いましたが、さすがに薬が蓄積して6クール目の最後に数日だけ寝込みました。抗がん剤で寝込むのは、風邪などで具合が悪くて寝込む感じと違って、なんか独特ですよね。体の中を砂嵐が舞うような・・・??
脱毛は避けられないとわかっていたので、どうせならできるだけ楽しい経験にしようと思いました。最初、有名なウィッグ屋さんに試着に行ったら高いし似合わないしですごく打ちのめされました。。でも、ネットで調べるといろんな体験談があってその明るさに救われました!私はおしゃれウィッグ屋さんに医療用のを買いに行き19,000円のウィッグを買いました。これで全然問題なかったです!ボブとショートを買い、その日の気分で選んでいました。脱げるのが怖くて深くかぶりがちなのですが、生え際から少し上(?)くらいにした方が断然自然に見えます(店員さんのアドバイス)!これ大事!(ちなみに脱毛は治療開始から3週間くらいで始まりましたが、つるつるになることはなかったです。)最初は何度かぶってみてもしっくりこなくて「かぶり方が難しいのかな・・・」とブルーだったのですが、ウィッグを買ったお店で自分に合わせてカットしてもらったらすごくしっくり!さっとかぶるだけでキマるようになったので楽だし気持ちもあがったので、自分に合わせてカットするのはオススメです。
薄いですがもみあげや襟足も残っていたので、かなりしばらくは帽子をかぶって外出していました。ウィッグを使用したのはけっこう最後の方です。メルカリできれいなシルクのスカーフをゲットして外国人のように巻いてみたり、友人がきれいなガーゼ生地をスカーフに手縫いして送ってくれたり、きれいな色を身につけて気分をアップさせていました^^ まゆは”まゆティント”が役立ちました!まつ毛も抜けるので人生初のアイライナーも楽しみました。さすがにどんどん抜けはじめる時は落ち込みますが、大丈夫です!まゆもまつげも髪も、治療が終わったそばからすぐぐんぐん生えてきました!私は仕事を辞めていて人に会うこともなかったため、治療終了1ヶ月後には脱ウィッグしていました(たまにはかぶっていましたが)。ベリーベリーショートです(治療が終わった時点で頭はやわらかい毛で覆われていました)。薬の影響がある部分は少しちりちりしていましたが、治療が終わったら以前のような直毛に戻りました。
化学療法の副作用については治療を始める前にネットで調べるとそれはそれは怖いことばかりでした。病院からは具体的に副作用予防の提案はないので、ネットで検索した体験者のブログを参考にしながら自分なりにやれることはとにかくやってみようという気持ちでいろいろ試しました。一番恐れていたのはしびれの副作用です。
1クール目でかかとのしびれ感が出ていましたが、2クール目からしびれ予防として点滴中に圧着ソックス(2枚重ね)とワンサイズ下の手術用手袋をしていました(ネットで検索して知った体験者さんの情報を参考にしました)。着圧ソックスは夕方か夜寝る前まではいていました。これ以降しびれは発生しなかったです(1クールで発生したかかとのしびれはしばらくありましたが今はもうないです)。これに加えて100円ショップで調達した保冷剤と保冷バッグを毎回持参して点滴中は手足を入れて冷やしていましたが、しびれがでなかったのは着圧ソックスと手袋の効果かなと感じています。爪の黒ずみも出なかったです。口内炎も怖かったので点滴中氷もなめていましたが、けっこう爆睡することが多かったのであまり意味はなかったかもしれません。でも口内炎にはならなかったです。
私は血管が細くて注射するたび大変だったので、看護婦さんにすすめられたのもあり、1クール目のあとすぐポートを入れる手術をしました(この手術自体は15分もしなかった?)。2クール目からはポートから点滴を入れたのですが、痛くないし、怖くないし(抗がん剤が皮膚にもれるのがこわかった)、毎回すごく楽でわたし的には大正解でした!本当に早めにポートにしてよかったです(鎖骨の下に小さな痕は残りますが、点滴治療時の快適さを思えばどうってことないです)。
手術したおなかは、腸閉塞が怖くて最初は痛くなるたびにビビっていましたが、今はもうそういうおなかの違和感(ガスが溜まって痛い感じ)もなくなりました。ジムにも行っています。
リンパ浮腫もとても不安でしたが、毎日皮膚を軽くさする程度のマッサージをしていて、今のところむくみはありません。長く立っていると疲れたかなーと感じることはありますが、むくむことはないので着圧ソックスを使うことは今の所ないです(でも飛行機に乗るときはむくむのでぜひはいてくださいね!)。
あと、私は治療中、定期的にタッチケアを受けていました(友人がセラピストなため、協力してくれました)。治療はやはり過酷なものだと思うのですが、今振り返っても、つらかったとか苦しかったという感覚があまり残っていないのはタッチケアのおかげだと感じています。治療中はどうしても頭の中がぐるぐるいっぱいいっぱいになってしまうのですが、タッチケアを受けるたび、リラックスして体の感覚に意識を向けることができて、なんというんでしょう・・・自分はこんな風にぐるぐる考えているのに、体自身は自然と治る方向に行こうとしているんだ・・・というのが感覚としてわかり、それが私には大きな気づきでした。体ってすごい!ガンになっておいて言うのもなんですが、手術や治療を通して、頭の中は自分で勝手にぐるぐるしてしまうけれど、いつだって体がちゃんと人間に本来備わっている恒常性という感覚を教えてくれた(気づかせてくれた)ような気がします。
治療が始まる前、いろんな情報や不安に飲み込まれて自分をすっかり見失ってしまいました。今まで自分だと思っていた自分はなんだったんだろう??と足元から崩れてしまったような・・・。そのとき、友人たちの言葉の中にしっかりと「私」がいて、本当に驚きました。自分は、自分が一番知っていると思っていたけれど、友人たちが映し出してくれる自分も確かに自分なんだと、みんなの中にいたいきいきとした「私」に救われて、自分を取り戻すことができました。これは衝撃的な発見で、人と関わって生きることの本当の意味を知ったような気がして、病気になって知ることができたすばらしいギフトのひとつでした。
ガンを経験するということは人生において本当に過酷なことではありますが、5yearsのような場があり、こうして同じ体験をしている人たちを知れることは大きなどんなに勇気をもらえることか。ここにいる人たちはみんな同志で、応援団です^^ ここで出会えてありがとうございます。